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労働者派遣法の改正点について⑤

⑤ 労働契約申込みみなし制度

労働契約申込みみなし制度は、平成24年の労働者派遣法の改正により制定され、平成27年10月1日に施行日を迎えた新制度となります。この制度は、違法派遣の是正をし、派遣労働者の希望を踏まえつつ、雇用の安定を図ろうとする制度と説明されています。

【申込みみなしの要件】

①派遣労働者を派遣禁止業務に従事させること
②無許可事業主から労働者派遣の役務の提供を受けること
③事業所単位の期間制限に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること
④個人単位の期間制限に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること
⑤偽装請負をしたこと

の上記いずれかに該当した場合に適用される制度です。
申込みみなし制度が適用された場合、「派遣先事業主」が「派遣労働者」に対し、「労働契約の申込み」をしたものとみなされるため、「派遣労働者」が「承諾する」旨の意思表示を行うことで、当事者間で労働契約が成立することになります。
ただし、受入れ開始時点で「派遣先」が上記の要件に該当することに、「善意無過失」でそれが継続していた場合には、労働契約の申込みみなしの主張に対し、抗弁事由として「労働契約成立の効果」を否定することができます。
労働契約が成立した場合には、当然のことながら安易な『解雇』はできなくなり、解雇法理を適用する場面においても、慎重な判断が必要となります。
以上、簡単ではありましたが5回に分けて労働者派遣法の改正点についてまとめました。別の機会に「労働者派遣事業の許可申請」について、まとめたいと思います。

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